リザプロ教育研究所
それでも慶應に受かった、
女の子の話
M o v i e
まだの方は、ぜひこちらからご覧ください。
動画では、推薦入試の仕組みや、合格したご家庭がやっていたことをお話ししました。
ですが、実際どんな子が、どんなふうに受かっていくのか。そこが見えていないと、自分の家に当てはめづらいですよね。
なのでこの本では、理屈ではなく、ひとりの子の6年間をそのまま書きます。中学受験で思うような結果にならなくて、そこから推薦入試に切り替えて、希望の大学に受かった子です。
推薦入試ってこういうものなんだな、というイメージが残ればと思います。
P a r t
01
第一志望は、慶應の附属校。結果は、不合格。この“届かなかった日”が、6年後につながる出発点になる。
小峰さんという方です。
小峰さんのご家庭は、安定志向でした。
「うちはどっちかっていうと安定志向で、大学までエスカレーターで行けるのが理想だったんです。だから中学受験のときも、附属校ばっかり狙ってました」
第一志望は慶應の附属校。お父様が慶應出身で、小さい頃から聞かされて育ったそうです。
「小さい頃から慶應ってすごいんだよって刷り込まれてて。自然と憧れの慶應って感じになってましたね」
結果は、不合格でした。
滑り止めだった立教女学院に進学します。
この子は、6年後に推薦入試で慶應に入り直します。その6年間で何をしていたのか、順番にお伝えします。
最初にあったのは、猫が好きという気持ちだけでした
家で子猫を2匹、引き取る
友人が保護した猫が産んだ子。ずっと飼えなかった動物が、家にやってきた。
新聞で「殺処分」を知る
日本ではまだ多くの犬猫が殺処分されている。ショックを受けた。
動物愛護センターへ、一人で行く
「僕たちも殺したくない」——職員の言葉が忘れられなかった。
動物愛護のボランティアに参加
続けるうちに「これで役に立っているのかな」という違和感が生まれる。
夏休みの短期留学で、マルタへ
同じ島国で猫が多いのに、人とうまく暮らせている場所を先に見た。
奄美大島へ。行政・NPO・島の人と話す
猫を守ることと、自然を守ることがぶつかる現場を、自分の目で見た。
慶應義塾大学 法学部 FIT入試 合格
中学受験で落ちた慶應に、まったく別の入り口から入り直した。
P a r t
02
特別な活動があったわけではありません。始まりは、どこのご家庭にもありそうな、ささいな出来事でした。
中学に入った小峰さんに、特別な活動があったわけではありません。
動物は昔から好きでしたが、家庭の事情で飼えませんでした。憧れているだけの状態です。
きっかけは、本当にささいなことでした。友人が保護した猫が子猫を産んで、そのうち2匹を、小峰さんの家で引き取ることになったんです。
「私自身も、もっともっと猫が大好きになったんですけど、あんなにダメって言っていた親も猫ちゃんにメロメロで」
ここまでは、どこのご家庭にもある話だと思います。
2本目の動画で、合格したご家庭に共通していた1つ目として「好きなことに、遠慮なく背中を押す」という話をしました。
ここから全部が始まっています。
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03
猫が好き、から始まって、殺処分、ボランティア、島の問題へ。一つひとつは、そんなに大げさなことではありません。
猫と暮らすうちに、小峰さんは新聞で、日本ではまだ多くの犬猫が殺処分されていることを知ります。
ショックを受けて、高校1年生のとき、地元の動物愛護センターに行ってみました。
一人で、です。
そこで職員の方から聞いた言葉が、忘れられなかったそうです。
それから、動物愛護のボランティアに参加するようになります。
ただ、続けるうちに、こう感じたそうです。
「ボランティアって結局猫のお世話をするだけで、なんか何も役に立ってないなあみたいな感情を自分の中でちょくちょく感じていて」
やがて小峰さんは、奄美大島という島の問題を知ります。捨てられた飼い猫が野生化して、もともとその島にいた生き物を襲ってしまっている。猫を守ることと、自然を守ることが、ぶつかってしまう問題でした。
この問題をどうしても見てみたくて、小峰さんは実際に島に行きます。
その前に、夏休みの短期留学で、マルタという国にも行きました。奄美と同じ島国で猫が多いのに、そちらでは猫と人がうまく一緒に暮らしているらしい。同じ条件なのに違う結果になっている場所を、先に見てみたかったそうです。
一つひとつは、そんなに大げさなことではありません。
何かすごいことをしたわけではありません。興味を持ったことをもっと知ろうとする、何かできないかな、と思って、実際に動いてみる。ここが重要で、いちばんの分かれ道だったと思っています。
そういった活動を中学1年から高校3年まで、6年間積み上げていきました。
P a r t
04
猫の話が、いつのまにか「人と人が、どう話し合うか」の話になっていく。そこが、法学部の入り口だった。
奄美で小峰さんが見たのは、猫の問題というより、人と人がうまく話し合えていない状況でした。
猫を守りたい人たちと、自然を守りたい人たちが、それぞれの正しさをぶつけ合っている。そのあいだで、島に住んでいる人たちの声が、どこにも届いていない。
それで小峰さんは、地元の役所や国の窓口に、自分の考えをまとめて持っていくようになります。
「実は地元の環境省にはもうめちゃめちゃ嫌われてて。また来たよあの女子高生」
という風に語っていました。それでも出来ることをやっていく。
この6年間が、慶應義塾大学法学部のFIT入試で評価されました。
中学受験で落ちた慶應に、まったく別の入り口から入り直したことになります。
P a r t
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才能も、お金も、特別な環境も、まだ一つも出てきていません。始まりに、戻ってみてください。
ここまで読んで、やっぱりすごい子だな、と思われたかもしれません。
ただ、始まりに戻ってみてください。
友人の家で子猫が生まれて、2匹もらった。新聞を読んでショックを受けた。近所の施設に、一人で行ってみた。
才能も、お金も、特別な環境も、まだ一つも出てきていません。
そして6年間を通して自分なりに試行錯誤していきました。1年で駆け上がったわけではありません。
もう一つ、大事なことがあります。
小峰さんは、最初から慶應の法学部を狙って動いていたわけではないんです。
猫が好きで、もう少し知りたくて、少しずつ進んでいったら、いつのまにか法律や制度の話になっていた。順番はそっちです。
推薦入試というと、小学生のうちから将来の夢を決めて、逆算して活動を積む入試だと思われがちですが、実際に合格していく子は、だいたいこの順番です。
好きなものがあって、それを掘っていったら、行き先のほうが見つかった。
合格していく子は、だいたいこの順番です
将来の夢を決めて、
そこから逆算して活動を積む
小学生のうちに志望学部まで決めさせる。決まらないと動き出せない。
好きなものを掘っていったら、
行き先のほうが見つかった
猫が好き → 殺処分を知る → 現場へ行く → 人と人の話し合いの問題だと気づく → 法学部。
夢が先ではなく、「好き」が先。
行き先は、あとから見つかります。
P a r t
06
では、いま小学生・中学生のご家庭に何ができるのか。私は、3つだけだと思っています。
今なにを面白がっているか、否定せずに聞いてみる。それだけです。
ゲームでも、虫でも、電車でも、アイドルでもかまいません。受験に関係あるかどうかは、この時点では考えなくて大丈夫です。
小峰さんも、猫を飼った時点では何も始まっていませんでした。もう少し知りたい、と思ったときに、もう一歩だけ進めた。そこが分かれ道でした。
一回で終わらせず、もう一歩だけ。図書館で本を借りてみる、関係のある場所に行ってみる、詳しい人に話を聞いてみる。そのくらいで十分です。
いつ何を好きになって、いつ興味が変わったのか。簡単なメモでかまいません。
推薦入試で見られるのは、単発の実績ではなく、いつ始まってどうつながったのかという線です。そして線を引けるのは、そばで見ていた人だけです。高校3年生の夏に思い出そうとしても、もう思い出せません。
探究というと、なんだか研究みたいで大げさに聞こえますが、要は好きなものを少しだけ掘るということの連続です。
それを、面白がって一緒にやってあげる。
やる事は意外とシンプルなんですね。
やることは、意外とシンプルです
好きを、見つける
今なにを面白がっているか、否定せずに聞いてみる。ゲームでも虫でも電車でもOK。受験に関係あるかは、まだ考えなくて大丈夫。
もう一歩だけ、続けさせる
図書館で本を借りる。関係のある場所へ行ってみる。詳しい人に話を聞く。一回で終わらせない、それだけ。
記録に、残しておく
いつ好きになって、いつ興味が変わったか。簡単なメモで十分。線を引けるのは、そばで見ていた人だけ。
高校3年生の夏に思い出そうとしても、もう思い出せません。
小峰さんが、これから受験する子たちに向けて残した言葉があります。
「社会問題に対してどれだけ楽しんで取り組めるかが大事だと思います。一般入試と違って、総合型は楽しんだもん勝ちなところがあるので」
楽しんだもん勝ち、だそうです。
中学受験で第一志望に落ちた子が、6年後にこう言えるようになっている。私はここに、この入試のいちばんいいところが出ていると思っています。
Other Cases
中学受験をせずに、公立中から東大推薦に受かった子。
勉強が大嫌いで、国語がずっと苦手なまま東大に入った子。
通信制高校から、慶應の文学部に受かった子。
ロボットの世界大会で優勝して、一般受験をやめて慶應SFCに切り替えた子。
どれも、リザプロが運営している推薦入試のメディアで取材した子たちです。
こんな事例が毎年、合格発表のたびに増えていきます。
リザプロは、総合型選抜という入試のサポートを7年やってきました。子どもたちが提出してきたエッセイを1万件以上見てきましたし、合格したご家庭にも何十組とお話を聞いています。
なぜここまで集めるかというと、推薦入試は一般論がまったく効かない入試だからです。
①偏差値なら、数字で足りているか判断できる
②推薦入試は、組み合わせでしか判断できない
その子が何を好きで、どこまで続けていて、どの大学のどの学部がそれを求めているのか。うちの子はどうなんだろう、という問いに答えるには、似た子の実例をどれだけ持っているかが全てになります。
そこは、任せていただきたいと思っています。
S E M I N A R
今日書ききれなかったお子様たちの話や、推薦入試について知っておいて欲しいことを、さらにお話ししていきます。
こんな疑問も、当日に
そういった疑問を解決する場に出来たらと思っています。セミナー、楽しみにしていてください。お会いできるのを、私も楽しみにしています。
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リザプロ教育研究所
文:孫 辰洋(リザプロ株式会社 代表)
本書は、リザプロが運営する推薦入試メディアの
取材をもとに構成しました。
※登場する生徒の話は、本人への取材に基づいています。